2015年01月01日

2012年09月04日

死人の声をきくがよい



著 : ひよどり祥子(うぐいす祥子)

死人の声をきくがよい

少し大仰なタイトルですが、
内容は古典的な雰囲気の親しみやすいホラー作品で
読み切りの形式の中でメインの筋が少しずつ進む感じ。

霊が見える主人公。
疎遠になった幼馴染が守護霊のように付き添い、
霊的、超常的事件に遭遇するお話。

二人の距離感が実に良い感じです。

霊的、妖怪、サイコと幅広く、柔軟性に富む。
各話の結末には意外性があり、
ストーリーにどこか瑞々しさが溢れているのは、
作者さんの遊び心が
とても良い方向に表れているのだと思います。

絵柄は影が強く、キャラクターは美しい。
耽美、と言いますか… 影があるが故の
女性キャラの魅力が特に素晴らしいですね。
輝く笑顔から病んだ微笑みまで、
とても良い表情とその変貌が見応えあります。

ほんと、素晴らしく魅力的な絵柄ですね。

ゴアグロ表現はなかなか。
内蔵や腐臭の漂う迫力の仕上がり具合。
ここをソフトにも大袈裟にもしないのが
妙なリアリティを生んでいる気がします。うん。

美しさとおぞましさ、狂気と変貌。
暗い様でいて不思議な陽気さがあり、
しっかりと鳥肌の立つ怖さもあるけど尾を引かない。
気軽に世界観に浸れる、とても面白い漫画ですね。
うん、愛しくなる作品。素晴らし〜。

ひとつ「変わり果てた姿」というのが
ポイントなのかなー、と。

続巻も期待しております。

2012年02月19日

でろでろ



著 : 押切蓮介

でろでろ 全16巻

異色のホラー・ギャグから
オバケや妖怪を交えた青春模様までもを描いた名作。
登場人物や人外の魔物達には愛嬌が溢れ、
「本当に居て欲しい!」というその存在感が愛おしい。

オバケを恐れず、鉄拳制裁で真っ向から応える兄と
人や魔物を差別せず、優しく接する心の広い妹。
そんな二人を主人公に、賑やかでバカバカしく
時には怖さもあり、感動もあり。

ワザとらしく馬鹿っぽいセリフ回しや
小学生の頃に考えた事のありそうな妖怪や不思議が
テーマだったりと、お勧め所は多いんですが、
この作品が本当に素晴らしいのは
人と人外の垣根が無いに等しい事でしょう。
幽霊や妖怪を素手で殴り飛ばしたり殴られたりと
その身近な感覚がワクワクさせてくれます。

妖怪達も個性的ながら親しみの持てる風貌で、
下世話でとぼけたキャラクターが実に憎らしい。
だが愛さずには居られない、という。

全体的にはギャグ・コメディの要素がほとんどで、
あまり怖がる事はなく楽しめる作品だと思います。
押切さんの初期作品という事もあり
登場人物達の成長と共に作者自身の才能が
開花していく様がありありと見て取れますね。
巻末のおまけ漫画が非常に鬱屈とした雰囲気で
ご自身を描いているのが印象的です。

僕にも少ないながら心霊体験というものがありますが
「気合でブッ飛ばせ!」の精神をこの作品から頂き、
その節は助かりました。ありがとうございます。

これは怖がりな人にこそ読んで欲しい作品ですね。
不可思議なものや不気味なものが
身近になり過ぎるとギャグにも出来るのか、と。
感動的なエピソードも数多く収録されており、
ただのギャグ漫画では終わらない事も特筆です。

うーん、また続編が読みたいなぁ。
涙あり、笑いあり。

2011年11月27日

不安の種



著 : 中山昌亮

不安の種 全3巻

都市伝説系、と言いますか
誰もが想像する日常の心霊的恐怖を描いた作品。
本当に直球のみで仕上がっていまして、
「こうだったら怖いなぁ・・・」がそのままに。

子供の頃なんかは、
シャワーの時に目を瞑るのが怖いとか
窓の向こうが怖いのが当たり前にありましたよね。
その恐怖を形にしてくれるわけです。

「やめてくれよぉ・・・?」
「うわぁっ!!」

みたいな。

作品はオムニバスの超短編形式で
「誰か」の心霊体験を実にストレートに描写し、
想像通りの怖さが演出されているんですが、
「間」と「空気」の作り方が非常に上手いと思います。

絵柄と、どこか淡々とした雰囲気は
「寄生獣」の岩明さんに少し似ていますね。
この御二方は
「ブラック・ジャック 〜青き未来〜」
で共作をされている様です。ほほぅ?

読み終えた夜には、
子供の頃の臆病な気持ちが蘇りますね。
今夜はシャワーが怖いかも・・・。

まぁいい。気合だ。生活は気合だ!
タグ:漫画 オバケ

2011年11月03日

結界師



著 : 田辺イエロウ

結界師 全35巻

"結界師"
空間(世界)を創り出したり消したりする特殊能力。
妖退治を裏家業とする二つの一族が
代々に伝わる因縁と優しく、暖かく向き合う物語。

"妖怪"ではなく"妖"(あやかし)というのが
僕のツボでして。
その妖の造形が変に可愛くて良いんです、この作品。
シリアスで迫力の展開もあって、
そんなシーンでは肌がざわつくほどの怖さもあります。
これも"怖さ"ではなく"恐さ"の方でしょうか。
飲み込まれるような感覚なんですよね。
空気を飲み込む。

全35巻と結構な長編になっていますが、
それでも決して中だるみする事なく、
実に計算高く物語は進行し、終幕します。
最初はまぁまぁお気楽な雰囲気で、
徐々に緊迫していく、深化していく様な。

そして、登場するキャラクター達が、もぅ。
それぞれに人間味溢れる愛すべき人たちなんです。
巻が進むごとに感情移入してしまって仕方ない。
主役の彼がこういった性格だからこそ、
この作品はこの方向に進んだんだ、と。
そんな事も思いました。

悲しい事も、優しい事も、やるせなさも。
喜怒哀楽の感情が自然と心に沁みてきましたねぇ。
最後の方なんか、僕ずっと涙目でしたよ。
嬉しい様な、なんか複雑な感情で。

バトルものであり、人間と妖のドラマであり。
気持ち良く心の動く素晴らしい作品。
タグ:漫画 傑作