2012年03月07日

ゾンビ処刑人



監督 : ケリー・プリオー
出演 : デヴィッド・アンダース、クリス・ワイルド 他

THE REVENANT / 2009 America

原題の"THE REVENANT"は
「死の世界より戻りし者」的な意。(たぶん)
日本風に言うと「黄泉がえり」が近いと思います。

邦題やジャケット、宣伝文句からは
アクション満載のダーク・ヒーロー的な
骨太コメディを想像したんですが、
(良い意味で)その期待は裏切られましたね。
これは純然たる人生ドラマだなぁ。

この作品の特筆すべき要素として
ゾンビ(主人公)の特殊な設定があるんですが、

・知能や能力は生きていた頃と変わらない
・身体の機能を保つためには人の血が必要
・痛みは感じるが撃たれても死なない(死んでる)
・夜しか活動できず、朝には死体の状態に戻る

作中の表現を借りると
「肉体を持ったゾンビ的な亡霊」らしいです。
ヴァンパイアやアンデッドの特徴が強いですが、
見た目はかなりゾンビ寄りなのでご安心(?)を。

(あらすじ)

戦死した主人公は葬式の後に墓地から蘇ってしまう。
自分の身に起きた現象を理解しきれずも、
まずは親友の元へ身を預ける事に。
状況を把握してきた二人は夜の街で生き血を求め、
不死の肉体を使って
犯罪者を狩っては死体を捨てる毎日を送る。
金や薬を手に入れて"第二の人生"を満喫するが、
そんな破綻した生活が長く続くはずもなく・・・

恋人とのしがらみや親友との友情にも悲劇は起こる。

どこか文学的な匂いを漂わせ、
突拍子もない会話や台詞にも何故かリアリティが。
普通ならコメディになる様な場面にも、
その裏にある苦悩や不安、戸惑いが描かれていて、
真面目で物悲しくも
ユーモアのある雰囲気を感じさせます。

物語の完成度を高めるための映像は
影や暗闇をエフェクトにしたセンスの良い仕上がり。
一つ一つのシーンがかなり丁寧に作られていて
映像的な名場面と呼べるシーンが多く、
例えば、ソファで横たわる彼女を背景に
至近距離で銃を撃ち合うゾンビ二人の姿は
実にシュールで感動的ですらありましたね。

様々な名作映画へのオマージュが
たっぷりと込められた名場面の数々は
主人公がゾンビという事を活かし、
ある意味で唯一無二の存在感を放っています。

特殊メイクのレベルも高く、後半は結構グロい。
ただ、主役がゾンビという事もあり
「痛そう」な表現は控えめなので、その点では
残酷描写が苦手な方にも良いかもしれません。

展開は起承転結がしっかりとしていて、
「承」の部分では邦題に偽り無し。
ラフな服装でダーティーハリーの台詞を拝借したり
軽快なオーケストラに乗せて次々と悪人を始末したり
ここはなかなかワクワクとさせてくれました。
が、ある人物の死をきっかけに一気に破綻する状況は
「死ねない不幸」と悲劇を加速させ、
どうにもやるせない気持ちに包まれてしまいます。

死なない事、死から蘇ってしまう事は
本当に不幸でしかないなぁと思いました。
この作品を見て強く感じたのは
「殺してあげたい」って気持ちでしたが、
序盤で前フリになるセリフがあって、
きっと、それが正解だったんでしょうね。

最後の場面には賛否があると思いますが、
僕にとっては
ロメロ監督にも通ずるゾンビへの愛や
近代社会への皮肉、批判を感じさせるものでした。
そして主人公への哀しい報いも・・・

最後の選曲はずるいなぁ。
泣いちゃったじゃないですか。

☆見所としましては

親友同士の会話に現れる「哀愁」でしょうか。

大人の玩具の振動でしゃべる場面があるんですが、
笑いながら泣いてしまいそうな良い場面なんですよ。
絵面と台詞には笑っちゃうんですが、
その状況と心情を考えると・・・。もぅ、ね。
この雰囲気はほんとにグッとくるものがありました。

☆総評としましては

★★★★ / やるせない、ヒューマン・ゾンビ・ドラマ

悲痛さや物悲しさ、笑える会話に衝撃的な画。
様々な要素をバランス良く配置し、
それぞれがじっくりと描かれていて完成度が高い。

あと、主役の役者さんが素晴らしいです。
真っ白に濁ったゾンビの眼で
ここまで人間的な感情を表現出来るとは・・・

うーん、実に尾を引く作品だなぁ。名作です。



YouTube - ゾンビ処刑人 予告編
posted by DM at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゾンビ映画 / B級
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