2012年02月13日

ライフ・イズ・デッド



著 : 古泉智浩

ライフ・イズ・デッド 全1巻

絵はシンプルで悪く言えば雑、良く言えば味。
物語の質には非常にマッチしており、
世界観はしっかりと完成されている感があります。

ゾンビ化する事が様々な感染症と同じ様に捉えられ、
その病状に1〜5のレベル分けがある。
主人公は登場時から既に感染しており、レベルは3。
※日常生活は問題なく行えるが、(恐らく)外出禁止や
定期健診(レベル測定)の義務があるといった状態。

そんな主人公の闘病生活や苦悩する家族、友人を中心に
健常者と感染者との関係が生々しく描かれています。
事態の深刻さやドラマチックな事件とは程遠く、
そこにある事実が誇張されずに
ゆっくりと進行していく様が実に興味深い。

実際に徐々に流行するゾンビ感染症が生まれた場合、
日本は本当にこんな反応と生活を送るんじゃないか。
どんなに深刻な事態が起こっても、
危機感は慣れによって失われていくものですよね。

数多くのゾンビ作品の中でも、この漫画が特に
持っているものが「身近な説得力」だと思います。
感染者は悲劇の主人公ではなく、一般的なダメ男。
(この主人公の描写に関しては
いろんな皮肉が込められている様に感じました。)

そして物事は、
なに一つ上手く進む事なく続いていく・・・

うーん、リアルだ。
ゾンビ化現象の淡々とした一場面を抜き出した様な。
物語の起伏は穏やかで、笑いも悲しみも暴力も
必要以上に大袈裟に感じる事はなく、
素直に受け止められます(慣れてしまった感で)

特筆すべき点は
ゾンビ化への進行具合が実にゆっくりで、
それゆえのモヤモヤとした苦悩が描かれている事。
性交渉での感染が描かれている事。
登場人物が一般的な「小物」である事。などなど。

映画化されたという事で、見るのが非常に楽しみです。
じわじわとくる面白さを伝えるのが難しいですが、
これは実に実写映像向きの作品だと思います。

いろんな場面で若者への皮肉が
やんわりと効いているのが良いですね。

いや、皮肉と言うより、これもリアリティかな。

(追記 2月16日)

本日、二度目の読了。
先日の読後感とはまた違った感想を持ちました。

この物語の主軸としてあるのは
「人間が、ある日を境にゾンビという化け物になる」
と、いう事。なんだろう。
友人や家族、恋人がただ死ぬのではなく、
自分達の生命を脅かすものに変貌してしまう。
これはゾンビを語る上で、
避けられない重要なテーマの一つでしょうね。

絵の雑さは二度目になると気にならず、
人物の表情はしっかりと感情を伝えてくれる。

一度目の感想で「皮肉」と書きましたが、
この作品にあるのは実に素直な家族愛と日常。
現実としてゾンビ化問題が起こった時の、
やるせなくも続いていく日常のリアリティでした。

うーん、じわじわと心に居座る作品だ。
タグ:漫画 ゾンビ
posted by DM at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ゾンビブック
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