2012年08月27日

ゾンビ・ナース



監督 : マイケル・ハースト
出演 : クリスティーン・テイラー、クロエ・モレッツ 他

Room 6 / 2006 America

えー、まず最初に、あまりゾンビ作品ではありません。
タイトルやジャケットには期待させられますが、
基本的には悪魔(?)や亡霊(?)、モンスター(?)が中心の
一人パニック系悪夢的ホラーといったところです。

冒頭はシチュエーション・スリラーっぽい
手術シーンから始まりまして、主役のヒロイン登場。
このヒロインの謎に満ちた境遇と幻覚(?)を
追って物語はじっくりと展開していきます。

-あらすじっぽいもの-

自動車で衝突事故を起こし、
互いの恋人と妹が救急車で運ばれた後に行方不明。
搬送された病院の所在を探す二人の前に現れては消える
異形のモンスター。
これは果たして現実なのか?それとも…

劇中の言葉を流用して"モンスター"としましたが、
普通の人の顔がフラッシュバックの様に
一瞬(結構長い)ゾンビ顔になる感じですね。
襲ってきたりもしますが、
実際にはなにも起こっていない、みたいな。

そんな展開と同時に、
搬送された恋人の入院状況が挿入されまして、
こちらの方が見応えがありますね。
邦題のナースさんもグイグイ登場していますし、
不穏な状況に身を置いている感がなかなか良いです。

まぁ、そんな不穏な雰囲気だけは漂わせつつ、
実にゆっくりと確信に迫る… 様な迫らない様な。

うーん、
全体的に平均点以上の出来だとは思うんですが、
すべての要素に何かが足りない。
脚本に無理があるのか、構成が悪いのか…
大事なところほど説得力に欠けるんですよ。
残念ながら。

ちょっとグダグダな夢を見ている気持ちになりますね。
オチまでいくと、それも納得出来る気がしなくもない
かもしれないけれどもどうしたもんだろう。

ってな具合です。一言で言うなら

「腑に落ちない」

これですね。
納得いかない、手は打てない。

ただ、
ヒロインが辿り着いてからのクライマックスも含め、
病院パートは結構面白いです。
こちらを中心に展開してくれていたら…

見せ場のほとんどが病院なんですよねぇ。
ヒロインの方の描写が退屈に思えてしまうわけでして。

うーん。

特殊メイクは上手いんですが、造形が少し古いかも。
同じく、演技と演出、音楽までもがなんとなく古い。
そして「古き良きホラー」になるには
怪奇感や迫力が絶対的に足りない気がします。

唯一迫力があったのは、
婦長さんっぽいおばさんナースですね。
立ち居振る舞いと表情が怖い。
もっと活躍して欲しかったなぁ…。存在感グッド。

すごく良い要素もたくさんあるんですが、
それを無駄に捨ててしまっていて、
ヒロインのパートを助長してしまった、と。
少し勿体無さを感じさせる仕上がり具合でした。

んー、もったいない。
悪くない。悪くはないんですよー。

☆見所としましては

クライマックスでは大勢の"ゾンビっぽい人達"も
登場しますので、そこでしょうか。うち的には。

あとは、今をときめくクロエ・モレッツが
幼いわりには大人びた演技を見せてくれます。
まぁ、いいとこ取りのチョイ役ですが。

☆総評としましては

★★+0.5 / 設定が悪い!

と、相成りました。
うん、設定。まずは設定ですね。

"オチありき"で話が構成されていますので、
不可解さが退屈へと繋がってしまいます。
このオチを変えていれば、
全体がもっともっと良くなったのでは。惜しい。

一番のマイナスポイントは
大事なシーンに感じる手抜き感です。
じっくりと描写している中で、フッと冷めてしまう。
これでは緊迫感は持続しませんね。

まぁ、でも…
オカルト・シチュエーション・ホラーとして
ポイントは押さえた作りだったと思います。

誰だ、この邦題を付けたのは。
(大人の事情でしょうねぇ)

※決してゾンビ作品ではないのですが、
便宜上、B級ゾンビ作品として分類させて頂きます。
posted by DM at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゾンビ映画 / B級

2012年08月22日

サイレントヒル



監督 : クリストフ・ガンズ
出演 : ラダ・ミッチェル、ジョデル・フェルランド 他

Silent Hill / 2006 America

これはお見事な
オカルト+クリーチャーの素晴らしい世界観。
"超傑作"として名高い同名ゲームの映画化作品ですが、
未体験の僕にもしっかりと楽しめました。

-あらすじ-

夢遊病の娘が発する言葉「サイレントヒル」
それは実在する封鎖された街の名前だった。
続く地下火災と雪の様に降りそそぐ白い灰…
廃墟の街に訪れたローズは娘の姿を見失ってしまう。
サイレンの響きと共に始まる想像を絶する世界の変貌…
狂気と混沌の中で"闇"の根源が徐々に姿を現していく。

ってな感じの
かなり特殊な環境でのクリーチャー・ホラーです。
時間制限付きの地獄に飲み込まれる様な感じで、
"闇"の時間帯はかなり絶望的な恐怖感がありますね。

世界観は見事に完成されていて、
それが何段階かに分けらているのがミソでしょうか。
初見では混乱しそうにもなりますが、
映像(色)にはっきりとした差異が付けられていて、
とてもわかりやすく演出されています。

映像面では全てが素晴らしく、
廃墟のロケーションから"闇"の腐食した異世界感。
どちらも胸の踊る様な興奮を感じます。
クリーチャーはスタイリッシュでおぞましく、
尊厳すらも感じさせる絶対的な存在感。

※ゴアな表現はCGの使用と全体像をぼかす事で
適度に綺麗な描写になっていますので、
衝撃はあっても気持ち悪くはないと思います。
この辺もA級作品としてソツがない。

謎を追う演出にはかなりゲーム作品っぽさが出ていて、
とても良い雰囲気です。
是非とも原作ゲームをプレイしたいですね。

そして音の使い方がまた上手い!
音楽や効果音の編集が良いのは勿論なんですが、
オカルティックなセリフの響きが実に素晴らしい。
舞台演劇の様なセリフ回しの場面があるんですが、
鳥肌の立つ力強さで迫ってきます。
これは計算の上で言葉を選んでいると思いますね。

物語で肝要な要素としましては、
「本当に厄介な敵は人間である」という事でしょうか。
"悪魔払い"を信奉する狂信者達が全ての元凶であり、
また、真に恐ろしい存在…
いや、真に恐ろしい存在はまた別に現れていますね。
そこがオカルト・ホラーとしての本懐でしょう!

そうそう、
全体的にしっかりとしたオカルトな雰囲気があって、
その上で親子愛や人の狂気が入り混じり、
唯一無二の嫌悪感やカタルシスが…
クライマックスなんて神々しさすら感じさせますよ。

見事。いや、お見事。
何度みてもこの世界観には飲み込まれますね。
オカルト・クリーチャー・ホラーのひとつの到達点、
完成系とまで言えるのではないでしょうか。

素晴らしい傑作に拍手を!

☆見所としましては

特筆すべき要素が多い紛れもない傑作ですが、
なによりも異質な映像美をお勧めしたい。
クリーチャーの完成度が高すぎて魅入ってしまいます。

エンディングにクリーチャー総出演のPVが流れますが、
これがまた抜群の仕上がりです。

☆総評としましては

★★★★+0.1 / 最高の雰囲気と映像美!

「クリーチャーに尽きる」と言いたい程に
その存在感が素晴らしいのですが、
他の要素も存分に楽しめるハイレベルな仕上がりです。

一人三役(娘役 他)の子役、ジョデル・フェルランドが
恐ろしいほど可愛くて、しかもしっかりとした演技。
他の役者さん達も凄く良い演技を見せてくれますし、
本当に言う事なしの素晴らしいエンタメ作品でした。

いやぁ、ほんと、素晴らしい。
とても面白かったです。
これはまた何度も観る事になりそうですね。

傑作リストにまた一つ。



(追記)

僕は原作ゲームをプレイしていないので、
まったく予備知識が無い状態で視聴しましたが、
原作ファンの人にはいかがでしたでしょうか?

とにもかくにも、早くプレイしなければ。

(追記2)

この監督さんが僕の好きな作品
「ジェヴォーダンの獣」の人だと知りました。
確かに演出面での共通点が多く、
さすが!と思いました。これで一気にファンですね。

(追記3)

日本語吹き替えでも見てみましたが、
これは世界観を少し壊している気がするので
出来ましたら、字幕版の方がお勧めです。



続編「Silent Hill: Revelation 3D」が
北米では10月中に。
(国内でもおそらく公開されるでしょう。)



監督が変わっていますが、
ダーク・ナースは健在の模様です。

2012年08月19日

フィースト3 -最終決戦-



監督 : ジョン・ギャラガー
出演 : ジェニー・ウェイド、チェルシー・リチャーズ 他

Feast 3: The Happy Finish / 2009 America

さて、前作の続きです。
まんま、2ラストの続きのシーンからの始まり。

1→2→3と順調に破綻、ランクダウンしていきますね。
それもまた良し。

今作でも刺青赤毛女が活躍するので嬉しい。
新キャラも続々と登場です。が、
三作目ともなるとキャラの扱いが実に雑になっていて、
それも結構先の展開が詠めてしまうので、
1や2の新鮮味はなくなってしまいましたね。

いたしかたなし。

今作の雑な面はキャラだけでなく、
映像やラストまでも非常に粗雑で見づらい印象。
ストーリー等はこの際どうでもいい訳ですが、
なにをしているのか悩んでしまう様な映像演出は
ちょっといただけませんね。

「予測不能!でも、単純明快!!」

ってのが、このシリーズの魅力だったな、と。

今回もグロ表現はそこそこ派手ですが、
ちょっと痛々しい表現が多かった気がします。
キャラに思い入れが出来てしまっているので、
お気に入りが痛苦しそうだと良い気分ではなく…
なんとも顰めっ面になってしまいましたね。

うーん、どうも爽快感がない。

前作までは
良い意味での裏切りやぶっとび感がありましたが、
3ともなると全てが裏目になっている気がします。
いや、単純に完成度が落ちている、という事でもあり。

1→計算された裏切り感!
2→まぁまぁ楽しめる悪ふざけ感。
3→なんだかよくわからないグチャグチャ感

と、まぁこんなかんじですかねぇ。
特にテンポが目に見えて悪くなっています。
んー、シリーズを通して見るならば、
これはこれで味があって面白いかも、ですがね。

とにかく雑。いろいろと雑です。
前作、前々作とは別の意味での超展開(別種の敵)が
あるのが特徴、といったところでしょうか。
なんかゾンビっぽい集団が襲ってきますよ。

うーん、見事な尻窄み作品でした。とは言え…
フィースト・シリーズとしては駄作の3ですが、
単体で考えた場合にはなかなかの佳作だとも思います。

ちょっと期待が大きかったですね。
もっとニュートラルに見るべきだったかも。
忘れた頃にまた見てみます、うん。

☆見所としましては

キャラクター性を楽しむのはいかがでしょう。
やっぱりみんな魅力的ですよ。
お気に入りの生存を祈ってみたりしましょうね。

まぁ、どんどんとアレなんですが。

☆総評としましては

★★+0.6 / はちゃめちゃグダグダ

と、させて頂きました。

期待した完成度ではなかったですが、
いろいろとレベルが高いのは確かですね。
路上にゴミの様に転がっている遺体がとても良かった。
「ぶっ壊れてしまった世界」って感じ。

んー、そう。個人的には…
今作ではとことん王道を進んでみて欲しかった。
それが最大の裏切りになったと思うんですよね。
そして最後でまたドーーンッ!と裏切る、と。

いや、これはただの個人的な好み、願望ですが。

なんだか少し厳し目の感想になってしまいましたが、
「フィースト」はとても名作なシリーズですね!
お気に入りになりました。
あまり一気には見ず、
ちょっとずつ間を空けて視聴する事をお勧めします。

ゴアグロな映像表現がかなり大胆でハイレベル。
そしてどこか楽しげな雰囲気なんですよ。何故か。
それが一番の特徴ではないでしょうか。

2012年08月08日

地底からの侵略 人類VSエイリアン



監督 : トミー・ブランズウィック
出演 : ダニエル・ボールドウィン、ジェイムズ・ルッソ 他

BORN OF EARTH / 2008 America

ジャケットから超の付くC級グダグダ作品かと…
予想外にしっかりとした完成度でした。
まぁ、嘘ですけど。

冒頭から説明文の登場。
「地底には古来よりエイリアンが潜んでいる」
的な。非常に簡潔でわかりやすいですね。
まずはこれを踏まえましょう。

幸せな一家の日常を突如として襲撃したエイリアン。
子供達を連れ去られたダニーは五年の時を経て
再び町に戻ってきた…

ってな感じで、
このお父さんはずっと調査を続けていた様子です。
そして敵の正体に目星を付け、
「今夜、この町に惨劇が起こる…」と。
そこで義妹と姪っ子を守るために奔走するわけです。

結構のんびりと。

物語の前半はしつこいくらいに会話劇が続きますが、
相手が代わったりロケーションが変わったりで
なかなか上手く飽きさせずに見せてくれます。
演技がナチュラルかつしっかりとしていてとても良い。

ロケーションと画作りはありふれていて新鮮さは無い。
ただ、地底エイリアンが姿を現すとハラハラしますね。
「怖い」とかじゃなくてですね…
動きが超人間なんですよ。コスプレ怪人的な雰囲気で
とても良いです、稚拙です。
その稚拙っぷりが見ていて心配になると言いますか。

襲い襲われ超大根(笑)

いやぁ、いいですよー。
これぞB級の安心感。大袈裟な音楽もナイスです。
全体的に微笑ましい感じの恐怖やピンチで、
ゴアグロな描写もなんだか楽しそうです。

とにかく、敵の化け物が出てくれば出てくるほどに
安っぽい作品になっていくのは悪くない駄目さです。
普段の演技が上手いだけに、
いわゆるギャップ萌えってやつですね。

後半からオチまで
非常に「なんじゃそりゃぁー」な展開になりますので、
退屈と言えば退屈ですが、
脱力して楽しむ事をお勧めします。

☆見所としましては

もうね、クリーチャーの挙動ね。
紳士的なんでちょっとモタついたりするんですよ。
ほんと、すっごい人間的な動き。
いや、人間感丸出しの安心感です。

☆総評としましては

★★+0.4 / 育ちの良い模範生って感じ。

非常に行儀の良い作品なので、
ホラー、微ゴアグロが初心者だと言う方や
子供さんなんかにもいいかもしれませんね。

うん。かるーく楽しめました。
なにひとつとして解決しないぜぇ?


(追記)

この作品、シチュや展開が
恐ろしくゾンビに向いていると思うんですが、
何故に地底からのエイリアンなんて捻りを…

いや、ほんと。
ゾンビに置き換えて観てみると凄く良いですよ。

2012年08月04日

ゾンビ・クロニクル



監督 : マイケル・バーレット
出演 : フィリップ・ブロディ、アレックス・ウィルトン・リーガン 他

WORLD OF THE DEAD: THE ZOMBIE DIARIES 2 / 2011 UK

個人的にはちょっと苦手なPOV(主観視点)の作品。

オープニングは家庭用ビデオカメラでスタート。
んー、どうにもぎこちない映像ですが、
終末世界の最初期っぽさは少し出ているかと。

場面は変わって従軍カメラマンが登場。
ここから先はそのカメラの映像で展開していきます。
余計な表記はないですし、
POVの理由付けとしても、まぁ、妥当かと思います。

※POVにはどうしても理由付けが必要で、
そこに説得力がないとすごく気になるんですよね。

「いや、なんでその状況でカメラ構えてるねん」

って、やつです。

物語はドキュメント風に進行しますが、
軍隊の生き残り数名でのサバイバル逃亡劇。
そこに敵の不良グループみたいのが絡んで、
ゾンビの群れの中で人間対人間の閉塞感が…

非常にありがちな構成ながら、
緊張感のある状況と不幸な展開がなかなかに良い。
登場人物の視点で映る映像には没入感があり、
それゆえに緊迫した雰囲気は伝わってきますね。
ただ、話のスケールには制約がかかってしまい、
小さな盛り上がりに終始するのが少し残念。
※これもPOVの弊害ではないかと思うんです。

役者さんたちは堂々としたソツのない演技。
小道具や衣装、ロケーションも良い。
そして脚本がなかなかに素晴らしく、
終末に向かう状況の描き方は似た風合いの作品の中で
一歩、抜きん出ていると感じます。

が、それを邪魔している要素がチラホラと。

時間軸の違う映像が所々で差し込まれるんですが、
これは蛇足、と言いますか、何故挿入するのか…
興味を引きたいという狙いなんだとは思います。

そしてなによりも映像の編集技術とセンス。
シーンの切り替えでノイズや映像の乱れなんかを
使用されていますが、これがなんとも安っぽい。
ここに大きな違和感を感じてしまって、
フッと… 冷めちゃうんですよね。

どちらにも言える事は、
「没入感を無くしてしまう」という致命的…
そう、POV作品には致命的な欠陥なんですよ、恐らく。

うーん、もったいない。

ゾンビメイクや群れの数、戦闘(主に銃撃戦)は
かなり健闘していて、なかなかの完成度。
(まぁ、なんとなく低予算の限界は見えてしまいますが)

ゾンビはゆっくりモタモタ、攻撃性も少し緩めタイプ。
脅威としてはさほどでもないんですが
群れとしての見せ場が結構ありますので、
牧歌的な恐怖を感じたい方にはお勧めかもしれません。

☆見所としましては

暗闇から至近距離に現れるゾンビのアップでしょうか。
カメラの目の前にヌボーッとくるのはなかなか。

そしてやはり脚本が良い、地味な良さです。

☆総評としましては

★★+0.5 / おしい。無駄な味付けが多い。

と、なってしまいました。

しっかりとした予算で
洗練された効果と演出が出来れば…
かなり化けるのではないかな、と。
個人的には同じ脚本で、完全なPOVではない形式の
作品が見たいなー、と思いました。

少し否定的な感想が多くなりましたが、
良いところがいっぱいあって面白いですよ。

シリアスで不幸な終末世界。
posted by DM at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゾンビ映画 / B級